十三郎とトミエさん
トミエさんは今日も朝から花を眺めてる 小さな漁師町の人一人通れる程の小道に朝日はたまる 朽ちた竿だけがどれほどそこに眠っているのだろう その上をひらひら洗濯物 トミエさんがそれを眺めてる 表札には今も十三郎 幾年かが過ぎた今日の日も 散ることなどない花トミエさんの花 花は咲いている
玄関前にはお世辞にも上手いとは言えない手作りの椅子がある 十三郎は上手く椅子が出来なくて ただトミエさんはそれを眺めてる 表札には今も十三郎 幾年かが過ぎた今日の日も 散ることなどない花トミエさんの花 花は咲いている
トミエさんはほとんど耳は聞こえなくなったけど 僕が近づく事にすぐに気が付いて じっとこっちを見ている 赤白黄色のチューリップを僕が優しく手のひらで撫でていく 人差し指出してとても小さな声で 赤 白 黄色 玄関前は小さな花園 囲まれてトミエさんが座ってる ふと 表札を見上げてみるとえらそうな字で 十三郎 表札には今も十三郎 幾年かが過ぎた今日の日も 散ることなどない花トミエさんの花 花は咲いている
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